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 語学情報

満洲語 / シベ語 / ウイグル語 / 中国語 / 語学学習についての一見解

1 満洲語

 私は満洲語(満語と書くこともある)を勉強しています.というと,よく「満洲語って中国語と似ているんですか?」と聞かれたりしますが,満洲語はむしろ日本語とよく似た言語です.
 ご承知の通りマイナーな言語なので,学習環境はあまり整備されてないのですが,次のような本がおすすめです.

 入門書
津曲敏郎(2002)『満洲語入門20講』大学書林.
河内良弘(1996)『満洲語文語文典』京都大学学術出版会.

 辞書
羽田亨編(1937)『満和辞典』京都帝国大学満蒙調査会 : 京都.[復刻版: (1972)国書刊行会 : 東京]

 それから,試作的にですが,簡単な満洲語文語辞書のファイルを作りました.どうせ見る/使う人もまずいないとは思いますが(笑),とりあえずサイトに載せておきます.今後,できれば,満洲語に関するその他の情報なども追加できればと思います.

    簡略・満洲語文語辞書ファイル01 A〜D
    簡略・満洲語文語辞書ファイル02 E〜H
    簡略・満洲語文語辞書ファイル03 I〜P
    簡略・満洲語文語辞書ファイル04 S〜Y


2 シベ語

 建設中です.ちなみにシベ語(シボ語ともいう)は,現在も新疆で話されている満洲語の一方言です.


3 ウイグル語

 ウイグル語は,モンゴル語・チベット語など中国の他の少数民族言語に比べ,日本ではなぜか非常にマイナーです.学習者も少ないと思われます.が,新疆ではウイグル語はかなり盛んでして,マスターすれば,現地の人といろいろ楽しい交流もできます.
 また,実際に学んでみると,なかなか面白い言語です.他のアルタイ諸語と同様,語順や語形変化など文法の仕組みは日本語にそっくりです.この点は日本人学習者には有利と言えます.しかし,もちろん日本語にはない文法要素もありますし,子音・母音の数が多いので,正確に発音しようとすると,なかなか大変です.それにもちろん文字や単語は一から覚えないと始まりません.
 興味をもたれた方に,お勧めの本・文献を紹介します.教材はいろいろありますが,実用的な入門としては次のようなものがいいのではないかと思います.(1)〜(3)は中国語で書かれた本ですが,いずれもウルムチで手に入ります.日本からでも中国書取り扱いの店から手に入るのではないでしょうか.

(1) 哈力克・尼亜孜主編(1997)『基礎維吾尓語』新疆大学出版社.
(2) 新疆維吾尓自治区民族語言文字工作委員会編(1997)『維吾尓語日常用語500句』新疆人民出版社.
(3) 李泰和(1998)『維吾尓語会話300句速成』新疆青少年出版社.
(4) 馬徳元・塔西普拉提・鳥買尓編著(1997)『大衆維語』(全二巻)新疆大学出版社.
(5) 竹内和夫(1991)『現代ウイグル語四週間』大学書林.
(6) 庄垣内正弘(1989)「新ウイグル語」『言語学大辞典』第2巻 pp.282-288.

 (1)は非常に体系的な本で,非常に役に立ちます.ただ,中国語で書いてあることもあり,少し難しいのと,テープがないので,実際にウイグル人のついて習わないと発音がわからないといった欠点があります.でも,この本をしっかり身につければかなりの実力がつくと思います.また,この本は新疆大学のウイグル語授業のテキストとして採用されているそうです.
 (2),(3),(4)は付属のテープが売っているので,非常に有益です.ただ,文法などの解説が足りないので,(1)と併用するのがいいと思います.
 (5)は初心者には読みにくく,実用的・語学的にはあまり向かない気がしますが,面白い指摘も多々あります.それになにしろ日本語で読めるのでありがたいです.
 入門後,もう少し詳しく,ウイグル語の言語学的側面が知りたいという人は,(6)から,いもづる式にその方面の資料を探し出して下さい.
 と,ここまで話して来ましたが,ウイグル語学習に関しては,当サイトなどより,菅原純先生のサイト, 新疆研究室が断然詳しいので,もっと知りたい方はそちらを見てください.
 なお,自分の勉強もかねて,付録として(1)の各課の基本例文のローマ字転写に日本語訳をつけた,ファイルを作ってみました.正直言って,自分でもウイグル語解釈でわからない部分が多いのですが,何かの参考になればと思います.

   『基礎維吾尓語』例文集ファイル(15課まで)

 ※ IPA(国際音声字母)を使うため,MSwordからhtmlを作りました.若干重いです.


4 中国語

 中国語関連のサイトは山のようにあるので,わざわざ私ごときが出る幕ではないのですが,一応,自分の思ったことを書いておきます.
 個人的な意見を言うと,最初の段階では,日本のものより,中国で出版されているテキストを使う方が,いいと思います.ご存知の方も多いように,中国の日本人留学生はほとんどが,北京大学や北京語言文化大学のテキストで勉強していまして,きちんとやった人は大きな成果を得ています.これらの大学から出ているテキストはどれも,よくできているので,どれを選んでもいいと思います.とにかく,初級から一通り習得するのが肝要です.
 ちなみに私が使ったのは北京大学出版社の『標準漢語教程』(全6冊),『中級漢語口語』(全2冊),北京語言文化大学出版社の『橋梁』(全2冊)などです.また,HSK (エイチエスケーと読みます.中国語の検定試験です.)用の問題集は,単なるテスト対策だけでなく,中国語の実力アップにも活用できます.
 それから,以下は,僕が実際に使ってみて,これはいいと思った日本の中国語学習書です.個人的に感じるのですが,中国の教科書の内容は,単語や文章を覚えるのが語学の基本だという,もっともな認識からか,必修単語をちりばめたテキスト本文や練習問題が中心となっています.その反面,どちらかというと「習うより慣れろ」的で,論理的な説明が少ないように思います.
 その欠を補うために,日本の中国語学習書を活用すべきと思います.以下の本は,文法・語法の明快な解説が豊富で,中国語が何となく使えるようになってきたが,いまいち手ごたえがないと感じているような中級学習者にもってこいではないかと思います.

中国語学習のおすすめ本

相原茂(1999)『中国語の学び方』東方書店.
中川正之(1996)『はじめての人の中国語』くろしお出版.
相原茂・藤堂明保(1985)『新訂 中国語概論』大修館.
相原茂編(1996)『中国語ハンドブック 改訂版』大修館.
相原茂・木村英樹・杉村博文・中川正之(1987)『中国語入門Q&A』大修館.
  続編の『中国語学習Q&A』,『中国語教室Q&A』もいいです.
中山時子ほか(1999)『中国語作文のための短文練習 −中文造句』東方書店.
佐藤晴彦ほか(1997)『中国語表現のポイント99』好文出版.
佐藤晴彦ほか(1999)『中国語表現文法 −28のポイント』東方書店.
荒谷勧監修(2000)『子供も話す 実用中国語成語1000』光生館.
  これは覚えやすい.
相原茂・荒川清秀・大川完三郎・杉村博文(1995)『中国語類義語のニュアンス』大修館.
  類義語は大切ですが,数が多いし,本当にややこしいですね.
相原茂(2002)『はじめての中国語辞典』朝日出版社
  非常に丁寧な初心者向けの小型辞書です.

   それからおまけに

北京語言文化大学漢語水平考試中心編(2000)『漢語8000詞詞典』北京語言文化大学出版社.
  いわゆるダーペイの練習に最適.中国国内で出された本です.
王小寧・侯子[王+韋,wei3](2002)『HSK聴力慣用語』新世界出版社.
  これも中国国内の本です.

 もっと詳しい情報は他の中国語専門サイトから見られると思いますので,そちらへどうぞ.例えば,「 あいうえお中国語」.


付録 語学学習についての一見解

 語学学習に関する方法論・情報はありあまるほど流通してます.そこに新たな知見をもたらすことなど,私にはできません.ですが,今後の学習方針を確認する意味で,これまでの経験を振り返り,とりあえず現在の自分の考えをここでまとめてみたいと思います.
 ということを予めことわった上で,私見を述べると,やはり語学上達は

毎日たくさん練習する

 ということに尽きるといって間違いないと思います.私自身も陥りがちですが,どうしたら効率的に勉強できるかとか,どれがよい参考書かとかばかり気にして,結局,語学練習自体が疎かになるのが一番ばかげてます.とにかく勉強そのものにできるだけ多くの時間を当てるのが大事です.
 そのためには,やはりその言語を学ぶことで更に視野が広がるような,自分の関心・興味が持続的に持てる分野(文化,政治・経済etc)や教材(海外の映画・ドラマetc)を見つけ,強い学習の動機が維持できるようにするのがよいと思います.
 それから忘れがちですが,日本語(=母語)の能力を高めなければなりません.例えば,日本語で新聞・本を全く読まない人が,いくら勉強しても急に沢山の外国語の文章が読めるようになることは,原則的にありえません.どんなに外国語が上手くなっても,母語以上のパフォーマンスを得ることは不可能といっていいと思います.日本語でしゃべるのが下手な人は外国語でも同じです(私もその一例です).母語の能力が低いと外国語の程度は更にそれ以下ということです
 さて実際の語学学習の際には,(A)できるだけ効率のよい練習法で,(B)できるだけよい教材(教科書・テープ・辞書・参考書etc)を利用するのに越したことはありません.
 (A)の外国語学習の方法論に関しては,いろいろな人が様々なことを言っています.でも結局のところ,ごく普通の人がとるべき方法は

  まず(1)基礎的・簡単なテキストを暗記するぐらいまで正確に何度も反復練習する(文字だけでなく必ず音声をセットにすべし).
 (2)ある程度基礎ができたら,いろいろな教材(本,新聞,テレビなど)を大量にこなす


 という地道な勉強だと思います.中学校から大学まで英語を勉強したのに,全然話せるようにならないという人は僕を含め大多数かと思われますが,これは先生の文法解説をきいて「わかった,わかった」という段階で留まっているのが,主な原因と思います.やはり教科書を理解するだけではだめで,教科書を記憶する,スラスラ言えるようにする練習(教室の中でなく,一人の時に自分で行う)にもっとも時間を割くべきということではないでしょうか.いい加減なまま,何冊も本をこなすより,一冊の本を徹底的に覚えた方が,外国語が「使える」ようになると思います
 その他にも,外国語で日記をつけるとか,朝から晩まで部屋で外国語のテープを流すとか,外国語だけを使って考える時間(通勤時など)を設けるとか,いろいろな方法があります.例えば以下のような本で,外国語学習法について述べている部分が参考になります.

千野栄一(1986)『外国語上達法』岩波新書.
国広正雄編(2000)『CDブック 英会話・ぜったい・音読・入門編 英語の基礎回路を作る本』講談社インターナショナル.
町田健(1999)『言語学が好きになる本』研究社.
井上一馬(1998)『英語できますか? 究極の学習法』新潮選書.

 また実際に外国の人と接する(究極的には留学する)のもいい方法ですが,ある程度勉強してからでないと,ほとんど意味がありません.僕も留学の最初の頃は外国の人と話そうとしても全然ダメでした.テレビを点けっぱなしにしても,全然わかるようにはなりませんでした.やはり教科書をこなして,ある程度のレベルに達してからでないと,むやみな時間・お金の浪費になってしまうと思います (語学スクールに通っている方々が陥りがちなパターンでは? ).
 (B)に関して言うと,例えば中国語の場合,やはり一番いいのは中国で出版されている北京大学や北京語言文化大学から出版されてるテキスト(『標準漢語教程』北京大学出版社など)を初級からきちんと勉強することでしょう.それだけでかなりの実力がつくはずです.ある程度,基礎ができたら,辞書を軽く目を通す感じで (私は太文字の単語だけ読んだ ),一度読むのも効果的です.教科書で抜けていた重要語が結構,拾えます.
 それから,外国語がかなりできる人でも発音がかなりおそまつ,あるいは発音に自信がなくて,それを分かっていながら,なかなかどうすればいいか分からないという人が多いのではないでしょうか.これは音声学・音韻論の知識の欠如に由来すると思われます.しょせん外国人に完全にネイティブな発音などできるわけがありませんが,音声学・音韻論を学び,実地に即して練習すれば,かなりましな発音が身につくかと思います.音声記号(IPA)が読めるかどうかはかなり大きな差だと思います.
 また特に中国語に関して,よく誤解しやすいのが,そり舌のrの発音です.これは流音ではなくて,摩擦音です.だから日本語の「ら」とは全く別物で,中国語のshを有声化したものとして発音すべきです.これは,音声学の知識があれば,避けられる間違いです.
 また,一般にあまり認識されていませんが,実は中国語には母音が三つしかありません.と言うと,たいていの人は「でもピンイン(中国語のアルファベット表記)では母音は6つあるじゃないか」と反論します.しかし,どの言語でもそうですが,文字は必ずしも実際の音韻体系を忠実に表すように作られているわけではありません.ピンイン表記にはいろいろ問題があるのです.
 そういったことを初心者にも丁寧に教えてくれるのが,前掲の相原茂・藤堂明保(1985)『新訂 中国語概論』の音韻論の部分です.普通の教科書には書いていない,中国語の音韻的知識が体系的に学べます.さらに望まれる方には,全ての言語に応用の利く,音韻論の概論を学ばれるのがいいと思います.

音声学・音韻論のおすすめ本

小泉保(1996)『音声学入門』大学書林.
竹林滋・斎藤弘子(1998)『改定新版 英語音声学入門』大修館書店.
  対象が英語ですが,一般的な音声学書としても学べます.
窪薗晴夫(1998)『音声学・音韻論』くろしお出版.

 と以上,偉そうにいろいろ述べてまいりましたが,私自身,外国語が苦手です.いまのところ上記の言語(中国語など)を十分に習得できてません.だからこそ,何とかならないものかと思い,いままでの経験をまとめて,上のようなことを書いてみました.
 どうすればもっと外国語ができるようになるかとよく考えています.何かいい方法・情報があれば,是非教えてください.それから,本サイトよりも,別のサイトの語学情報の方がもっと充実していますので,このサイトよりもそちらをみた方がいいです(笑).(最後まで読ませといて,この言い方は何だと思ったあなた,ni3説得対です.すみません.)

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  関西学院大学の阿部卓也(ドイツ語)先生のサイトです.音声に慣れることの大切さを説き,その実践法を紹介しています.
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  主な対象は英語ですが,一般的な語学学習法も汲み取れます.
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